逆上がりができなくて日が暮れるまで練習した少年時代
小学生の頃、鉄棒が苦手だった。
特に、逆上がりは中々できなかった。
周りの友達は、皆うまい。
平気な顔して逆上がりや空中逆上がりを成功させる。
女の子が「〇〇くん、すごーい!」と言っている横で私は唇を噛みしめていた。
それから毎日、私は学校から帰ると公園に向かった。
「僕も逆上がりできるようになりたい」
負けず嫌いな私は、黙々と練習した。
2歳年上の姉も練習に付きあってくれた。
「もっと足を上げたら成功しそう!」
「今の惜しかった!」
「昨日より良くなってるね!」
姉が私にかけてくれた言葉を今でも覚えている。
鉄棒が苦手な私を冷やかすことなく、丁寧に教えてくれた。
日が暮れて夜ご飯の時間になるまで練習を続けた。
姉:「そろそろ帰ろうか。」
私:「あともう少し」
姉:「夜ご飯の時間だよ。」
私:「うん分かってる」
こんな会話を毎日のようにしていた。
帰ろうと促しつつも逆上がりを成功させたい私を姉はいつも気遣ってくれた。
練習を重ねて数か月後、ついに逆上がりを成功させた。
練習に付き添ってくれた姉の前で。
私:「やった!!」
姉:「すごい!!できた!!!」
姉は私以上に喜んでいた。
家に帰ってお母さんに報告する前に、姉が「逆上がりできたよ!!」と母に伝えた。
僕が言おうと思ったのに...と思いつつも、姉が自分事のように喜んでくれた嬉しさが勝った。
その日の夜ごはんは、大好物のカレーライスだった。
豆が潰れたぼろぼろの手で握るスプーンが冷たく感じて食べにくかった。
それでも逆上がりを成功させた嬉しさからお代わりを2回した。
姉が居なかったら成功できていない。
姉の前向きな言葉に何度も救われた。
弟思いでいつも明るく優しい言葉をかけてくれる姉。
昔も今も変わらず、私を元気にさせてくれる。